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和
何年か前に「負け犬の遠吠え」という本が流行った。私の周りにいる、その本の定義によると「負け犬」とされる人のひとりが本を買い、回し読みをしたものだ。
その中に負け犬の共通点としてあげられていたのが、「和」にはまるということだ。
和といってもいろいろあるけれど、例えば茶道や華道を習ってみたり、歌舞伎や能・狂言を見に行ったりと和の趣味を始める人が多いというのが、共通点のひとつだったと思う。
私は学生のときには、茶道を何年かやっていたので、日本独特のお稽古ごとや、その世界には潜在的に興味を持っていた。
確かに20代の頃は、他にもたくさんやりたいことや刺激されることが多くて、その和の世界を広げようという意識はなかった。
どちらかというと洋のものに憧れていたし、静の世界よりも、動の世界の方が好きだったからだ。
それが不思議なことに30も過ぎると、和の世界を追求したくなるから不思議だ。私の場合は何故か着物だった。着物なんて、大学の卒業式と茶会で1回着たくらいだ。
成人式も振り袖を着ていないから、立派な着物なんてもっていないし、着る機会もなかった。
それが会社の後輩の結婚式の二次会で着物を着てみようという話になり、着付けができる友達に着せてもらえることになった。
実家から数少ない着物を取り寄せ、当日少し緊張して着物を久しぶりに着たものだ。そこから着物の魅力にはまってしまった。
着付け教室に通った。着付け教室に行くと同時に茶道も再開した。
着物を着て、鎌倉を散策したり、和の心を感じさせるような街を散歩した。知れば知るほど、和の世界というものは面白い。
つくづく日本人というのは芸が細かく、筋が通っていて、独特の世界観を作り出す人種なのだと思い知らされる。
着物の柄ひとつ、所作ひとつひとつの細かいところにまで、意味がある。合理的でかつ美しい世界観を創りあげているのだ。
和